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まえがき
オリーブ牛のおいしさは、
オリーブがもたらす循環の輪の中にあった!

徴的な樹のオリーブ

 香川県の県樹がオリーブということをご存じだろうか。そういえば、ツルツルしこしこのさぬきうどんに舌鼓を打ちつつ高松市を歩いていると、あ、ここにもオリーブが!と特徴的な樹をみかけることが多い。

 ただ、香川県における県樹オリーブの位置づけは、他県よりずっとこの地に根付いたものである。というのは、たんに鑑賞するだけではなく、このオリーブを中心にした素敵な食の循環の世界があるのである。

香川はオリーブが稔る豊饒の地

黄緑色から紫色へと段階的に熟したオリーブの実

 日本最大のオリーブ産地である香川県の小豆島を訪れたことがあるだろうか。明治41年に日本に初めてオリーブが導入されたとき、唯一オリーブが根付いたのが小豆島。いまでこそ日本各地でオリーブ生産が試みられているが、100年の歴史を持つのは小豆島だけ。そこらの新興産地とは年期が違うのである。

 10月後半には島内の陽当たりのよいところ一面にモワッと繁るオリーブが植えられ、黄緑色から紫色へと段階的に熟した実がたわわに実っていた。 「どうぞ生のままで」と薦められ、オリーブの実を囓ってみると……ウワッ、何じゃこりゃ、し、渋い!そう、生のオリーブ果実には辛み、苦み、渋みなどさまざまな味が凝縮されている。この穫れ立ての果実を搾油施設に速やかに運び、ミキサーでドロドロの状態にしたのを搾油機で搾る。オリーブオイルは果実から穫れる唯一の油なのだ。

 創業以来オリーブオイル一筋の老舗・東洋オリーブにて「はい、どうぞ」と、瓶詰めする前の、濾過もしていない本当の一番搾りのオイルを飲ませてもらう。口に含むと、とろんとしたジュース!これホントに油?と思った瞬間、こくんと嚥下した後に喉の奥から刺激的な香りが立ってくる。本当だ、果実から搾るからこの様々な香り、辛み、渋み、が活きているのだ。

穫れ立ての果実を搾油施設に速やかに運ぶ
ミキサーでドロドロの状態にしたのを搾油機で搾る。オリーブオイルは果実から穫れる唯一の油

 さて、小豆島と言えばオリーブオイルなのだが、実はこのオリーブを活かした面白い試みが結実している。それは、このオリーブを軸にした循環型農業。オリーブオイルはその果実を搾るわけだが、搾った後のかすにも20%程度の油分が残る。もったいないけど仕方が無い。そのかすには、僕が生で囓って「ウワッ」となったように、明らかに深いな渋みがある。人間が不味いと思うものだから当然、牛さんや豚さんなどの動物も喜んでは食べません。だから、いままではこのオリーブかすを活かす方法もなく、そのまま捨てていたそうだ。

 しかし、そのオリーブかすに着目した農業者が居たのである。

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